ヨガをすると心が軽くなる、という経験をしたことはありませんか?ヨガ=フィットネスという印象が強いかもしれませんが、実は別物。フィットネスの目的は「身体を整えること」に対し、ヨガは、「心を整える」ためのものなのです。
そのために、呼吸があり、アーサナ(ポーズ)があり、瞑想があります。本記事では、意外と知られていない、ヨガの基本を解説します。
ヨガとは何か?
本来のヨガとは、忙しく動きまわる心を静め、「自分の中の、不変的で本質的な幸福」にたどり着くための生き方そのものを指します。このゴールを目指す様々な生き方の1つに、瞑想を用いる「ラージャ・ヨガ」という行法があり、その中で、長時間瞑想をするために心身を整える過程があります。
この過程が、アーサナ(ヨガのポーズ)を用いる「ハタ・ヨガ」で、現在、一般的に「ヨガ」と呼ばれているのは、この「ハタ・ヨガ」から派生したものがほとんどです。なぜかわからないけれど、ヨガをすると心が軽くなる、と感じるのは、心を整えることをゴールとし、その過程をたどっているからなのです。
ヨガの基本原則
「ラージャ・ヨガ」では、瞑想の中に本質的な幸福を見つけ、理解することがゴールとなりますが、そのゴールへ向かうために、「ヨガ八支則」という具体的な手順があります。
この基本原則に従って、1つ1つを丁寧に修練し、自分のものにしていくことで、瞑想の中において、自分の本質、宇宙の真理を理解し、悟りの境地へとたどり着くことができるといいます。
ヨガ八支則
- 日常の中でしてはいけないこと(ヤマ)
- 日常の中ですべきこと(ニヤマ)
- 座法(アーサナ)
- 調気法(プラーナヤーマ)
- 感覚の統制(プラティアハーラ)
- 集中(ダーラナ)
- 瞑想(ディアナ)
- 悟り(サマディ)
ヨガの基本的な流れ
本来のヨガの目的を知ると、「よくわからない」「ヨガって難しい」と思うかもしれませんが、そんなことはありません。悟りの境地に至らなくても、心を整える過程を踏むことで、日々のストレスから解放され、心穏やかな自分を感じることができるのです。
外からの情報がとにかく多い現代人にとって、自分を見つめるヨガの時間は、とても心地よいものに感じるでしょう。
集中する
まずは、外からの情報を減らし、自分自身に集中します。背筋を伸ばして座り、目を閉じて自分の状態を感じましょう。
呼吸の浅さ、体の違和感、心の動きなど、まずは自分を客観的にみてあげてください。客観的に自分の状態をみることで、心が静まり、ヨガに集中する準備が整います。
呼吸調整
次に、呼吸をコントロールします。苦しくなければ、深い鼻呼吸に切り替えて。まずは吐く呼吸を意識して、おなかの底から全部吐き、その反動で自然と空気がおなかにはいっていきます。
吸う呼吸と、吐く呼吸の割合を、1:2程度に調整すると、リラックスしやすくおすすめです。
アーサナ(ヨガのポーズ)
呼吸が整ったら、アーサナ(ヨガのポーズ)の出番です。ヨガのアーサナは、非日常的な動きが多く、硬くなった筋肉をほぐし、弱くなりやすい筋肉を鍛えることができます。
心と体は繋がっているため、肩こりや腰痛をかかえたまま、心を穏やかにたもつことは難しいでしょう。呼吸とアーサナで心と体の調子を整え、快適に瞑想だけに集中する準備を整えます。
瞑想
心身を整えたところで、瞑想に入ります。ヨガ八支則における瞑想とは、頭を空っぽにすることではありません。集中する対象を決め、1つのものに、とにかく集中します。それは、自分の呼吸、心に描いた何か、好きな音楽などなんでもOK。
他の考えが浮かんだら、それを把握し、手放す練習を重ねます。瞑想を重ねると、ごちゃごちゃしていた頭の中がスッキリし、集中力も増します。物事を客観的にとらえることができるようになるため、イライラすることが減り、仕事の効率もアップするでしょう。
ヨガの基本の呼吸
ヨガにはいくつもの呼吸法がありますが、初心者でも簡単にできる、基本の呼吸を2つご紹介します。
腹式呼吸
1つ目は、腹式呼吸です。吸うときにおなかが大きく膨らみ、吐くときにおなかが薄くなります。ひざを立てた仰向けでおこなうと、おなかの動きを感じやすく、おすすめです。
ストレッチ性の高いポーズとの相性が良いので、ポーズをキープしているときに、深い呼吸の音に耳を傾けてみましょう。心と体をリラックスさせ、やさしくほぐしてくれる呼吸です。
胸式呼吸
2つ目は、胸式呼吸です。下腹を軽く引き締めた状態で呼吸します。吸う呼吸でろっ骨が前後左右に広がり、吐く呼吸でみそ落ちに向かい閉じていくのを感じます。慣れてきたら、ろっ骨一本一本を意識し、そこを丁寧に開くように呼吸してもよいでしょう。
肩の力は抜きますが、下腹は引きしめて行う、力強い呼吸です。バランスポーズなど、体幹を強く使うポーズとの相性が良く、心と体に安定感を与えてくれます。
初心者必見!ヨガの基本ポーズ6選
ここからは、初心者のための、基本のヨガポーズを6つご紹介します。
基本の座り方:スカーサナ(安楽座)
基本の立ち方:タダーサナ(山のポーズ)
マジャラーアーサナ(Cat&Cow)
ヴィーラ・バドラーサナ1(戦士のポーズ1番)
トリコナーサナ(三角のポーズ)
シャバーサナ(屍のポーズ)
まとめ
ヨガの基本は、心を整えることにあります。目標とするレベルは違うけれど、その基本は今も昔も変わっていません。ポーズだけを意識すると、フィットネスとしてのヨガになってしまうため、自分の呼吸、心の状態に目を向けることで、今まで気が付かなかったヨガの良さを、感じることが出来るでしょう。
東京都を中心に活動するIHTA認定ヨガインストラクター。会社員としての経験を持ち、自身の健康を意識することからヨガを始める。身体だけでなく、心も健康にするヨガの魅力を知り、この魅力を広く伝えたいという思いからヨガインストラクターに転身。マインドを明るくするような朝ヨガ・リフレッシュ効果の高いフロー感のあるヨガを得意とする。