腕で全身をささえるヨガのアームバランス。ヨガを深めるにつれ、アームバランスの壁にぶつかる方も多いのではないでしょうか?アームバランスは、たしかに難易度の高いポーズですが、安全に練習を重ねることで、かならず上達します。
本記事では、アームバランスの効果、アームバランスを安全にとるコツと、基本的なヨガのアームバランスを4つご紹介します。
ヨガのアームバランスとは?
ヨガのアームバランスとは、腕を支点として、体全体を支えるアーサナ(ポーズ)のことを指します。支点は腕ですが、腕の筋肉だけでなく、体幹やバランス力を総動員させて、体勢をキープするため、中級者〜上級者向けのポーズといわれています。
習慣的にヨガを続け、片足立ちのバランスポーズや、クンバカーサナ(プランクポーズ)など、体幹を強くつかうポーズに慣れてきたころに、チャレンジしてみましょう。
ヨガのアームバランスの効果
アームバランスは、腕で全身を支えるため、たるみがちな二の腕のシェイプアップに最適です。また、ポーズをキープするためには、体幹(胴体部分の筋肉群)を働かせて、バランスをとる必要があるため、お腹・背中も引きしまり、上半身全体がうつくしいボディラインへと整っていきます。
また、ポーズをキープするためには、どれほど自分に集中できるかがポイントとなります。アームバランスの練習により、マットをはなれた日常生活でも集中力が高まり、趣味や仕事の効率がアップするでしょう。
ヨガのアームバランスを安全にとるコツ
うつくしいボディラインへと導いてくれるアームバランスですが、なかなかポーズがとれずに、あせってしまう方も多いのではないでしょうか?アームバランスは、難易度の高いポーズです。数回の練習で効果を求めずに、自分を信じ、マイペースで続けることが重要です。
一番たいせつなのは、けがをしないこと。安全にポーズをとるためのポイントを押さえて、アームバランスを上達させましょう。
手首をやわらかくする
1つめのポイントは、手首をやわらかくすること。手首は、アームバランスで最もけがをしやすい場所の1つです。ここで、手首を柔らかくするストレッチを1つご紹介します。
よつんばいになり、肩の真下に手首をおきます。指をかるく開き、脇をしめ、まずは掌でしっかりとマットをおす感覚を覚えましょう。次に、指先をひざの方向に向け(ひざの方まで回らない場合は、むりなく回せる範囲でOK)、おしりを後ろにひき、前腕の手首側を伸ばします。反動はつけず、じわじわとした筋肉の伸びを感じながら、ゆっくりと5回深呼吸しましょう。次に、手の甲をマットにつけ、同じように前腕の反対側も伸ばします。手首まわりの筋肉をストレッチしてから、アームバランスの練習に入ることで、けがのリスクをグッと減らすことができます。
手をただしく置く
次に、手の位置をチェックしましょう。両手は肩幅におき、指をかるく開いた状態でマットをとらえます。見落としがちなのが、手首の角度です。普通に手をマットにつけると、中指がまん中にきますが、アームバランスでは、人差し指をまん中にして、両手の人差し指を平行にするのがポイントです。
これは、自然に脇がしまり、前鋸筋を働かせ肩甲骨から腕を前に押しだすことができ、さらに、前腕の骨の構造上、体を支える力を強く発揮できるポジションでもあるためです。手をただしく置くことで、マットを押す力が、上に伸びあがる力につながるため、下半身を持ち上げやすくなります。
体幹を鍛える
3つめは、体幹を鍛え、お腹まわりの筋肉を常に働かせることです。お腹がゆるむと、手首にばかり負担がかかり、ポーズをキープすることができません。体幹を鍛えるには、クンバカーサナ(プランクポーズ)や、ナヴァーサナ(舟のポーズ)がおすすめです。
これらのポーズで安定感がでてきたら、一段階レベルを上げて、バランス力も一緒に鍛えられるウォーリアーⅢ(戦士のポーズ3番)や、アルダ・チャンドラーサナ(半月のポーズ)を練習してもよいでしょう。一見関係なさそうなお腹まわりですが、ため息を深く吐ききったときのようなお腹の薄さをキープし、体幹を起動させるだけで、腕・手首がグッと楽になります。
クンバカーサナ(プランクポーズ)
ナヴァーサナ(舟のポーズ)
基本的なヨガのアームバランス
では、基本的なヨガのアームバランスのポーズを4つご紹介します。
カカアサナ(カラスのポーズ)
両足をそろえた立位の姿勢から、ひざをかるく曲げ、両手をマットにおきます。両ひざを深く曲げ、二の腕(脇の下でもOK)にひざを乗せたら、左右のかかとをくっつけておきます。お腹を強くつかい、太ももをお腹に引きつけながら、両手に重心をのせていきます。目線は斜め前におき、内ももをグッと寄せたまま、ゆっくりとマットから両足を持ちあげましょう。3から5呼吸キープしたら、ゆっくりとマットに降ります。上体の安定感、バランス力、集中力が高まるため、初めてアームバランスにチャレンジする方にもおすすめのポーズです。
トーラアーサナ(天秤のポーズ)
蓮華座になり、肩の真下に手首がくるように手のひらをマットにつきます。下腹を薄く引きしめ、まずはすねを胸に近づけるように浮かせ、次に、お尻の穴をキュッと体の内側に向かって引き上げながら、お尻を浮かせていきます。脇の下を意識しながら、両手でしっかりとマットを押し、ひざ・お尻・床が平行になるようにキープしましょう。支えているのは腕ですが、腹筋と骨盤底筋を強くつかい、足・お尻を引き上げるポーズで、お腹まわりの引き締め、バランス力の向上に効果的です。
ヴァシシュターサナ(サイドプランク)
クンバカーサナ(プランクのポーズ)から、右足側面(小指側)でマットをとらえ、左あしを右あしに重ねます。体を左に開き、右肩の真下に手首を置いたら、左手を腰にそえておきましょう。両かかとはけり出し、お尻がおちないように、鼻、胸の中心、恥骨、右あしと左あしの接着面が一直線になるように体勢をキープします。余裕があれば、右足裏をマットにつき、左足親指を左手でつかみ、天井方向へ伸ばしてみましょう。数呼吸キープして、反対側も同じように行います。股関節をやわらかくしつつ、体幹・腕まわりの強化に最適なポーズです。
ピンチャマユーラサナ(クジャクの羽のポーズ)
アルダピンチャマユラーサナ(ドルフィンのポーズ)から、足をひじの方に歩かせ、重心を前にずらしていきます。前腕でしっかりとマットをとらえ、左あしを天井方向に伸ばします。右あしを、左あしに引き付けるように、天井方向に伸ばし、両あしをそろえたら、数呼吸キープしましょう。脇の下からしっかりとマットを押し、腹筋を起動させ、集中します。バランス力と集中力が高まり、全身の血行も改善されるポーズです。
まとめ
難易度は高いですが、体を引き締め、集中力もアップさせてくれるアームバランスのポーズ。安全に、地道に練習をつづけることで、確実に上達させることができます。一歩ずつ、少しの成長を敏感に感じて、自分をほめながら先にすすんでください。1つポーズができるようになると、もっと自分に自信がつき、更にヨガが好きになっていくでしょう。
東京都を中心に活動するIHTA認定ヨガインストラクター。会社員としての経験を持ち、自身の健康を意識することからヨガを始める。身体だけでなく、心も健康にするヨガの魅力を知り、この魅力を広く伝えたいという思いからヨガインストラクターに転身。マインドを明るくするような朝ヨガ・リフレッシュ効果の高いフロー感のあるヨガを得意とする。