ヨガレッスンに頻繁に登場するダウンドッグのポーズ。座位から立位へのつなぎとして取り入れられることも多く、たくさん登場する割には、じっくりとダウンドッグを深める機会は、少ないかもしれません。
本記事では、ダウンドッグとはどのようなポーズなのか、その効果とやり方、できないときのコツを詳しく解説します。
ヨガのダウンドッグのポーズとは?
ダウンドッグは、アド(下)・ムカ(向き)・シュヴァーナーサナ(犬のポーズ)といい、犬が下を向いて伸びをしているように見えることから、名づけられました。全身を力強く使いつつ、ストレッチ要素も高いため、身体へのよい効果がたくさん期待できる、とても人気のポーズです。
太陽礼拝という一連のながれを繰り返すヨガでは、呼吸を整えるための休憩のポーズとしても取り入れられていて、ダウンドッグが心地よくとれるようになると、ヨガの質がグッとUPします。
ヨガのダウンドッグの効果
ダウンドッグは、頭を心臓より低くたもちながら、複数の部位をストレッチするポーズで、血行を促進する効果が高いため、たくさんのよい効果が期待できます。
疲労回復
ダウンドッグは血行促進効果が抜群で、身体中に新鮮な酸素や栄養が行きわたるようになるため、疲労を回復する効果があります。
筋肉疲労の主な原因は、筋肉のエネルギー不足と、疲労物質の蓄積ですが、血液がスムーズに全身を巡ると、疲労物質を排出し、必要な栄養を、全身の筋肉に十分に届けることができます。
集中力アップ
ダウンドッグのポーズに集中することで、ごちゃごちゃしていた頭がクリアになり、新鮮な酸素が脳に十分に行きわたることで、集中力がアップします。人は1日2、3万回呼吸をしますが、脳はその20%もの酸素を必要とします。
忙しい現代人は呼吸が浅くなりやすく、膨大な情報のなかで、長時間脳を酷使するため、脳が疲れやすい状態です。脳が疲れているときに、集中力を継続することはできません。疲れを感じたら、深い呼吸をとりながら、ダウンドッグのポーズに集中してみましょう。
身体の柔軟性UP
ダウンドッグは、肩周り下部・背中・お尻・脚(太ももの裏側・ふくらはぎ)を同時にストレッチできる、とても効率的なポーズです。これらの筋肉は、長時間座りっぱなしの姿勢でかたくなりやすいため、デスクワークの人には特におすすめです。
ただし、ストレッチを目的とする場合は、ダウンドッグでは伸ばしにくい肩周り上部・胸・お腹・太ももの前側・すねの筋肉のストレッチも、バランスよくストレッチすることをおすすめします。
ヨガのダウンドッグのやり方
では、ダウンドックのやり方をご紹介します。
効果的なストレッチ
ダウンドッグに入る前に、お尻・脚のストレッチをすることで、ポーズに入りやすくなります。ヨガのポーズでは、ジャーヌシルシャーサナ(片脚前屈のポーズ)や、スチランドラーサナ(針の目のポーズ)がおすすめです。ゆっくりと10呼吸ずつホールドし、十分に体をほぐしてから、ダウンドッグのポーズに入りましょう。
土台をつくる
ポーズを安定させる一番たいせつな土台をつくります。ポイントは、両手・両足の位置とバランスです。チャイルドポーズ(バーラーサナ)から、両手を肩幅のまま前に伸ばし、ひじを床から浮かせます。指はパーに開き、人差し指が平行になるようにセットしたら、掌手首側でしっかりと床をとらえましょう。つま先を立て、両足の間・両ひざの間は共に腰幅に開きます。
ポーズに入る
土台ができたら、両手足で均等に床をおして、お尻を高く持ちあげます。呼吸を通すために、まずは背中を伸ばすことを優先させましょう。背中が丸くなる場合は、ひざを曲げ、かかとを浮かせてもOKです。また、肩より耳が前に出ると、肩関節に負担がかかるため、耳を二の腕の横にセットし、目線は両足先におきましょう。尾骨から首の後ろまで、背中を気持ちよく伸ばし、ゆったりと呼吸します。
ダウンドッグのポーズができないときは?
太陽礼拝の中では、ダウンドッグは休憩のポーズですが、「ぜんぜん休憩できない!」という方も多いのではないでしょうか?ダウンドッグができないときに、起こりやすいエラーと、うまくポーズをとるためのコツをご紹介します。
肩がつまって呼吸が苦しい
肩がつまって呼吸が苦しいときは、肩甲骨を横方向に開き、掌で床をななめ前におし出すように意識してみましょう。肩甲骨を開き、腕を前方向におし出す筋肉、前鋸筋をうまく使い、肩と耳の間にスペースをたもつことが出来れば、呼吸がらくになります。雑巾がけをするようなイメージで、掌手首側をつかい、ななめ前に床を押してみましょう。
背中が丸くなる
背中が丸くなる主な原因は、お尻・太もも裏の筋肉のかたさです。お尻の筋肉は、事前のストレッチで伸ばすのが効果的ですが、太もも裏の硬さは、ひざを曲げることで背中を伸ばすことができます。ダウンドッグで優先すべきは、呼吸を通すための背中の伸びなので、思い切ってひざを曲げ、脚のつけ根を引き込むようにお尻を高くしてみましょう。
かかとがつかない
かかとがつかない主な原因は、ふくらはぎの筋肉(腓腹筋)のかたさです。これも、無理にかかとをつけようとすると、背中が丸くなるため、かかとは浮いていてもOKです。まずはひざを曲げてかかとを浮かせ、足踏みをするように、左右交互にかかとを床に近づける練習をしましょう。練習を続けるうちに柔軟性が高まり、自然にかかとが床につくようになります。
頭痛を感じる
ダウンドッグは頭を心臓より下げるため、頭の血管が拡張しやすく、頭痛を感じることがあります。また、肩まわりが力み、呼吸が浅くなることでも頭痛を誘発するため、まずは肩甲骨を横方向にひらき、肩をさげ、深い呼吸を通しましょう。呼吸を止めると血圧が急上昇し、さらなる体調の悪化をまねくため、深い呼吸を通すことはとても重要です。頭痛を感じた場合は、無理せずチャイルドポーズに戻り、少し頭を高くしてお休みしましょう。
まとめ
ヨガレッスンに頻繁に登場するダウンドッグのポーズ。様々なよい効果をもつ万能ポーズですが、安定して快適にポーズをとるためには、いくつかポイントをおさえる必要があります。ダウンドッグのコツをおさえ、ヨガの質をアップさせましょう。
東京都を中心に活動するIHTA認定ヨガインストラクター。会社員としての経験を持ち、自身の健康を意識することからヨガを始める。身体だけでなく、心も健康にするヨガの魅力を知り、この魅力を広く伝えたいという思いからヨガインストラクターに転身。マインドを明るくするような朝ヨガ・リフレッシュ効果の高いフロー感のあるヨガを得意とする。