赤ちゃんが楽しく遊んでいるような姿の、ハッピーベイビーのポーズ。かわいらしい名前ですが、実際は、名前からは想像ができないくらい、股関節まわりにストレッチがかかるポーズのため、苦手意識をもつ人も多いのではないでしょうか?
今回は、ハッピーベイビーのうれしい効果と、痛くてポーズがとれないときの対処法をご紹介します。
ヨガのハッピーベイビーのポーズとは?
ハッピーベイビー(アーナンダ・バラアーサナ)は、赤ちゃんが自分の足をつかんで遊んでいるような姿のポーズです。体のやわらかい赤ちゃんには簡単なポーズですが、大人が正しくハッピーベイビーのポーズをとるためには、股関節を引き込む筋肉や、おしりまわりの柔軟性が必要になるため、慣れないうちは、痛みを感じることがあるかもしれません。
ハッピーベイビーのやり方
ひざを立てた仰向けになり、両足を浮かせ、ひざを抱えます。ひざ頭を胸に近づけ、足の裏を天井に見せるようにひざを曲げていき、両足裏を外側から持ちましょう*。おしりが上がらないように、おしりの平らな骨、仙骨を床に押し付け、足首の角度は90度に保ったまま、手と足で反発するように、手は下に、足は上に押しましょう。
陰ヨガなど、ポーズを長くキープするレッスンでは、ハッピーベイビーを2分程キープすることもありますが、慣れないうちは、5呼吸から始めるのがおすすめです。
*足の内側から、手を回してもOKです。やりやすい方を選択しましょう。
ハッピーベイビーの効果
ハッピーベイビーは、股関節周りをストレッチし、やわらかくしてくれるため、特に女性にとってうれしい効果がたくさんあります。
下半身の冷えを緩和
ハッピーベイビーでは、お尻の筋肉がストレッチされ、下半身の血行がよくなるため、下半身の冷えをやわらげてくれます。お尻の筋肉は、デスクワークなど座りっぱなしの姿勢ですぐに硬くなるため、ケアをしなければ、「夏なのに足が冷える」など、慢性的な冷えにつながることがあります。
また、お尻の筋肉はとても大きいので、ここを柔らかくすることで、筋肉が血液を送る「筋ポンプ作用」が活性化され、効率的に血行をうながすことができます。
生理痛緩和
ハッピーベイビーには、下半身をあたため、生理痛をやわらげる効果があります。生理中に分泌されるホルモン(プロスタグランジン)は、子宮を収縮させる作用がありますが、おなかが冷えて血行がわるい状態だと、このホルモンが子宮内に多くとどまってしまい、子宮を過剰に収縮させるため、激しい生理痛を引き起こします。
ハッピーベイビーでおなかまわりの血液をスムーズにながすことで、ホルモンの量も適切に調整され、激しい痛みがやわらぎます。
デトックス効果
足の付け根には、大きなそけいリンパ節があり、ここを圧迫するハッピーベイビーは、ポーズを解放したときにリンパの流れをうながし、溜まりがりな老廃物をながす効果があります。老廃物の約90%はリンパ管を通り、全体の95%は便や尿として排出されます。
ハッピーベイビーのポーズを心地よく、リラックスしてとることで、消化を促す副交感神経が優位になるため、スムーズな排便を促す効果もあるのです。
ハッピーベイビーが苦手な方必見!痛いときの対処法もご紹介
かわいらしい名前とは裏腹に、股関節への刺激が強く、初心者をなやませるハッピーベイビーのポーズ。痛い!苦しい!と感じたままポーズをとっても、良い効果を感じることはできません。そんなときは、事前のストレッチや、軽減法をとりいれながら、「リラックスできている?」、「気持ちよく呼吸を通せている?」、ということを意識しながらやってみましょう。
股関節が痛くて手がとどかない
最初のうちは、多くの人が感じる股関節の痛み。下を向いてスマホやパソコンを見る時間が多い現代人は、その歪みのバランスをとるために、猫背のような姿勢になり、股関節が伸びっぱなしになっていることがあります。
ハッピーベイビーは、股関節を強く引き込むポーズのため、なれない姿勢に痛みを感じるのです。そんなときは、足裏ではなく、太ももに両手を回し、ポーズをゆるめましょう。リラックスした呼吸を優先させることで、ハッピーベイビーの良い効果を十分にかんじることができるので、無理をしないことも、ポーズを上手にとるコツの1つなのです。
おしりまわりが痛い
おしりまわりが痛い場合、大殿筋など股関節まわりの筋肉が固いことが主な原因です。事前に一段階優しいポーズでストレッチをすると、股関節まわりの筋肉がやわらかくなり、ストレスなくハッピーベイビーをキープできるようになります。
スチランドラーサナ(針の穴のポーズ)や、ジャーヌシルシャーサナ(片脚前屈のポーズ)であれば、初心者にもやさしいポーズとして、おすすめです。または、直接もみほぐすことでも筋肉はやわらかくなります。夜寝るまえに、温かいお風呂にはいりながら、おしりや太ももをマッサージしてみてください。お布団の上でとるハッピーベイビーのポーズは、スタジオよりも心地よく感じるかもしれません。
スチランドラーサナ(針の穴のポーズ)
ジャーヌシルシャーサナ(片脚前屈のポーズ)
ぐらぐらして安定しない
体がぐらぐらして安定しない場合は、片足ずつポーズをとるのもおすすめです。ひざを立てた仰向けの状態から、片足を浮かせ、両手で足裏をつかみます。慣れてきたら、立てているひざを伸ばすことで、バランスをとる練習にもなるため、チャレンジしてみましょう。
ひざを伸ばしたときに、反り腰になってしまう場合は、あせらずもう一度ひざを立て、状態を安定させてください。ハッピーベイビーにかぎらず、ヨガのポーズで一番大切なのは、安定して、快適であることです。ポーズを完璧にとるのではなく、自分の快適さを優先させてみましょう。
まとめ
女性にうれしい効果がたくさんある、ハッピーベイビーのポーズ。本来は、赤ちゃんが幸せそうに遊んでいるような優しいポーズなのに、痛みを我慢したり、肩に力が入っていませんか?そんなときは、自分に合うやさしい方法を積極的にとりいれて、肩の力をぬいてみて。苦手だとおもっていたハッピーベイビーが、とても心地よく、寄りそってくれるものに感じられるはずです。
東京都を中心に活動するIHTA認定ヨガインストラクター。会社員としての経験を持ち、自身の健康を意識することからヨガを始める。身体だけでなく、心も健康にするヨガの魅力を知り、この魅力を広く伝えたいという思いからヨガインストラクターに転身。マインドを明るくするような朝ヨガ・リフレッシュ効果の高いフロー感のあるヨガを得意とする。