全身を大きくつかい、たくさんの筋肉や関節をととのえ、うつくしい姿勢へと導いてくれるヨガの立ちポーズ。なれないうちは、あしがつらい、ぐらぐらして安定しないなど、苦手意識をもつ方も多いかもしれません。
今回は、ヨガの代表的な立ちポーズとその効果、立ちポーズを安定させるコツをくわしくご紹介します。
有名なヨガの立ちポーズ
ヨガにはたくさんの立ポーズがありますが、今回は、ヨガレッスンで一度は耳にしたことがある人気のポーズを3つ、ご紹介します。
タダーサナ(山のポーズ)
ヴィーラ・バドラーサナⅠ(戦士のポーズ1番)
ブルクシャーサナ(立ち木のポーズ)
ヨガの立ちポーズの効果
ヨガの立ちポーズは、仰向けや座位にはない力強さがあり、全身の筋肉・骨にアプローチして呼吸を深めるポーズです。なれるまでは少し時間がかかるものの、自然と安定させられるようになるころには、さまざまなよい効果を感じることができるでしょう。
筋力UP
立ちポーズは、軸あしで地面をおす力を、上に伸びあがる力に変え、重力にまけない筋力を育てることができます。とくに、体の内側についている、関節をささえる筋肉、インナーマッスルをきたえる効果がバツグン。
ここがきたえられることで、関節のゆがみが解消し、全身の筋肉をバランスよく使えるようになるため、同じ力加減でも、発揮できる力の量が変わります。歩くときにあしが高く上がり、転びにくくなるなど、日常生活での変化も感じることができるでしょう。
姿勢の改善
インナーマッスルがきたえられ、関節のゆがみがととのうことで、姿勢がよくなるのも、立位のポーズのメリットです。とくにタダーサナ(山のポーズ)は普段力みやすいところや、自分のかたよりに気がつく効果も高いため、姿勢改善にはとてもおすすめ。
自分のくせに気がつくことで、日常生活で負担をかけやすい部分をケアできるようになるため、マットをはなれていても、自分をいたわるヨガの時間となるのです。
血行促進
立位のポーズは、体を大きくうごかすものが多いため、血行の促進に効果的です。血行をよくするためには、とくに、第2の心臓とよばれるふくらはぎを強く使うポーズ、ウッティタ・アシュワ・サンチャラナーサナ(ハイランジ)やヴィーラ・バドラーサナⅢ(戦士のポーズ3番)がおすすめ。
ふくらはぎを強くつかうことで、筋肉が血をおくる仕組み、筋ポンプ作用がよくはたらき、あしもとから血液が力強くながれることで、下半身の冷えや、生理痛をやわらげる効果も期待できます。
ウッティタ アシュワ サンチャラナーサナ(ハイランジ)
ヴィーラ・バドラーサナⅢ(戦士のポーズ3番)
ヨガの立ちポーズを安定させるコツは?
あしが痛い、ぐらぐらして全然安定しない!と、立ちポーズに苦手意識をもっていませんか?「あこがれの立ちポーズを安定させるために、筋トレしなきゃ、、」そんな試練のようにとらえるのは、もったいないことです。
立ちポーズを安定させるために、最低限の筋肉は必要なものの、それだけではありません。いくつかポイントをおさえることで、今の体の状態でも、確実に安定させることができるので、ぜひ試してみてください。
地面をしっかりおす
立ちポーズの軸となるのは、あしですが、「立つ」ということは、「地面をおして、重力に逆らい体を支えること」だと認識するだけで、安定感が増します。
しっかりと地面をおすためには、足裏にかたよりがないように地面をふみ、土ふまずを引きあげ、ひざとつま先の向きを合わせて、お尻を引きしめることが必要です。ここまで意識できれば、下半身がゆるまず芯がとおった状態となり、下におした力がおへそのあたりまで、伸びあがる力に変わります。
体幹を起動させる
おへそまで引きあがった伸びあがる力を、さらに上に引き上げるためには、体幹を起動させること。体幹とは、胴体まわりの筋肉で、おなかを1cmほど、かるく引きしめ、お尻の穴を上に引き上げるような意識をもつことで、よくはたらきます。
体幹を起動させると、広がっていた内臓がぎゅっとまん中に集まり、上半身にも1本の芯がとおった状態になるのです。地面を押した力がその芯をとおって上に向かう力に変わり、それの力により沿うことで、しなやかに伸びあがることができます。
目線でバランスをとる
立位、とくにバランスのポーズは目線がとても大切。頭の重さは体重の10%もあるため、頭の位置がブレると、バランスがとりにくくなります。正しい目線は、首の骨、頚椎の角度を決め、おもい頭を安定する位置におさめてくれる、ひとつのツールでもあるのです。
ヨガでは、目線のことを「ドリスティ」といい、とくに体をアクティブに動かすアシュタンガヨガでは、ドリスティも含めてひとつのポーズとしているほどに、重要なのです。
まとめ
全身をととのえ、こころをととのえてくれる、ヨガの立位のポーズ。安定させるポイントをおさえ、ちょうどよい塩梅をみつけることで、とても心地よいものに感じるはずです。
立位のポーズにかぎらず、ヨガのすべてのアーサナは快適で、安定しているもの。気持ちよく身体を動かし、呼吸をとおし、集中しているうちに、自分のよい変化を感じることができるでしょう。
東京都を中心に活動するIHTA認定ヨガインストラクター。会社員としての経験を持ち、自身の健康を意識することからヨガを始める。身体だけでなく、心も健康にするヨガの魅力を知り、この魅力を広く伝えたいという思いからヨガインストラクターに転身。マインドを明るくするような朝ヨガ・リフレッシュ効果の高いフロー感のあるヨガを得意とする。