「有酸素運動は体にいい」と耳にしたことがあるのではないでしょうか?有酸素運動は時間をかけて強度が少ない運動を行うことを指し、ヨガも有酸素運動に入ります。有酸素運動の効果を高めるには、効果的な運動時間が大切です。
そこで今回は、有酸素運動とはどのようなものか、ヨガで有酸素運動を行う時のポイントなどを紹介します。
有酸素運動、無酸素運動とは?
スポーツやエクササイズには有酸素運動と無酸素運動があります。まずは、その違いについて説明します。
持続的に弱い負荷で行う有酸素運動
有酸素運動は、酸素を取り込みながら強度が小さい運動を継続して行うことで、血糖や脂肪を燃焼エネルギーへ変換します。このエネルギーを作り出すことで筋肉に効果的に働きかけ、脂肪燃焼の作用があります。
有酸素運動は持続的に行い、少なくとも20〜30分程度継続して運動することで有酸素運動としての効果を得ることができます。ちなみに、有酸素運動は英語でエアロビクス(Aerobics)とも呼ばれます。エクササイズのエアロビクスダンスも有酸素運動ですので同じ意味を持つものにはなるのですが、それだけではなく有酸素運動すべてをエアロビクスと呼びます。
短時間で強い負荷で行う無酸素運動
対して、無酸素運動はアネロビクス(Anaerobics)と呼ばれ、直訳すると「An aerobics=有酸素運動ではない」という意味になります。
無酸素運動という名前から「酸素がいらない=呼吸をしない」と思ってしまう人もいるのですが、「エネルギー源を作るのに酸素を必要としない」筋トレや短距離走など、負荷が強く短時間で行う運動を無酸素運動と呼んでいます。
エネルギー源である「ATP」
筋力をつけるためのエネルギー源(人が動くための原動力)をATP(アデノシン三リン酸)と呼びます。有酸素運動では酸素が血糖・脂肪と一緒にATPを作り出しています。反対に、無酸素運動は酸素を使わずにATPを作り出せるのですが、その際に乳酸も発生します。乳酸は疲労物質ですので、体内に乳酸が蓄積すると疲労感が強くなります。
自分が行ってる運動が有酸素運動なのか無酸素運動なのかは、ATPが作られる過程によります。明確な線引きで有酸素・無酸素と決められるわけではありません。
例:マラソンで最初の1分はダッシュで走ったが(無酸素運動)、その後30分はゆっくり呼吸しながら走った(有酸素運動)。
ヨガは有酸素運動と無酸素運動どっち?
ここまでご覧いただいた方には、ヨガは有酸素運動・無酸素運動どちらになるか予想できるのではないでしょうか?
ヨガは有酸素運動
正解は有酸素運動です。ヨガは呼吸を意識しながらゆっくりと身体を動かします。ほとんどのクラスが60分前後になるので、酸素をしっかりと体に取り込みながら、体内の糖と脂肪を使いエネルギーを生みだします。ヨガ以外にも、以下のエクササイズが有酸素運動になります。
- 水泳
- ウォーキング
- ダンス
- サイクリング など
かなり高い強度のヨガは無酸素運動にもなりうる
有酸素運動は強度の低い運動のことを指しますので、ヨガは有酸素運動であると説明しました。ただし、例外もあります。パワーヨガなどで、短時間に筋トレのようなヨガポーズを行う場合には無酸素運動となる場合もあります。例えば5分間の間に以下のポーズを行った場合です。
- 四肢のポーズ
- 賢人カウンディンニャのポーズ1、2
- 孔雀のポーズ
- ハンドスタンド
体幹をつけたい・筋力をあげたいという方や、男性ヨギーのなかには、上記のようなポーズを行う方もいるかもしれません。上記のポーズは筋肉への負荷が強く、運動量が多いために、無酸素運動となっていることもあります。
ヨガで有酸素運動を行う効果やメリット
有酸素運動は、健康的な生活を送るために必要不可欠であるとし、厚生労働省もその効果を認め、有酸素運動を行う事を推奨しています。有酸素運動はどのような効果やメリットがあるのか紹介します。
脂肪燃焼効果によるダイエット効果
有酸素運動は負荷が少ない運動を行う事ですが、20分以上継続して行う事で脂肪が燃焼しはじめると言われています。反対に、ヨガを20分以内で終えてしまうと、有酸素運動による脂肪燃焼効果を十分に感じられないという事になります。
ヨガはほとんどが60分クラスですので、脂肪燃焼によるダイエット効果を期待するには適した有酸素運動と言えます。
生活習慣病の予防
有酸素運動を行うと、脂肪燃焼効果がありますが、同時に内臓脂肪の減少も期待できます。内臓脂肪が減少すると、相乗効果で高血糖や高血圧、動脈硬化などの生活習慣病を予防することができます。
忙しい現代人では十分に運動をする時間が取れず、生活習慣病予備軍がたくさんいると言われています。毎日でなくとも、最低でも週に1〜2回はヨガを続けることで、生活習慣病の予防にもつながります。
ヨガは水泳に匹敵する消費カロリー
有酸素運動を行うのであれば、効率よくカロリーも消費したいですよね。ヨガは呼吸にフォーカスした瞑想ヨガや陰ヨガから、強度の高いパワーヨガまで、たくさんの流派があります。それぞれ消費カロリーが異なります。
- 陰ヨガ 約107kcal
- 通常ヨガ 約150kcal
- ホットヨガ 約300kcal
なお、水泳はゆっくりとした平泳ぎで1時間約150kcalの消費カロリーになります。運動量が多いように思える水泳がヨガと同じ位とは驚きですよね。さらにホットヨガは300kcalと水泳よりも消費カロリーが多いので、脂肪燃焼効果・ダイエット効果を期待したい人にはホットヨガがおすすめです。
参照:https://www.tanita.co.jp, https://retio-bodydesign.jp
ヨガの有酸素運動の効果を高めるポイント
ここではよりヨガの有酸素運動の効果を高めるためのポイントを紹介します。
ある程度運動量があるヨガを選ぶ
ヨガは有酸素運動ではありますが、ある程度の運動量があるヨガを選ぶことで、より恩恵を得ることができます。腹式呼吸をしながら行う瞑想ヨガの場合、腹筋を意識しながら呼吸をすることで、多少インナーマッスルを鍛えることはできますが、残念ながら高い効果を感じることは難しいかもしれません。
有酸素運動の効果を高めたいのであれば、断続的に動くビンヤサヨガや、強度が高いパワーヨガなど、ある程度筋肉に負荷がかかるヨガを行うと、より効果を感じることができるでしょう。
20分以上は続けてヨガを行う
有酸素運動を20分以上行うと脂肪燃焼がはじまります。太陽礼拝を自宅で行っている方もいるかもしれませんが、太陽礼拝だけでだと20分以内で終わってしまう場合も。前述の通り20分〜脂肪燃焼が始まるので、少なくとも30分は断続的に運動を行うようにしましょう。
ここでおすすめしたいのが、時間を延ばす=動きを増やすことではなく、今まで行っていた太陽礼拝をスローペースで行うことです。いつもよりも、ゆっくりとカウントしながら太陽礼拝を行うと、四肢のポーズや椅子のポーズ等で身体により負荷がかかります。結果として筋肉量がUPし、脂肪燃焼効果にも繋がります。
筋トレ(無酸素運動)→ヨガの順番で行うとさらに効果的
ヨガの中には無酸素運動となりえるポーズもあると紹介しました。実は有酸素運動に無酸素運動を組み合わせるとより効果があるとされているんです。その際に気を付けなければいけないのが行う順番。
必ず無酸素運動を行ってから、有酸素運動を行うようにしましょう。その理由は成長ホルモンにあります。無酸素運動を行う事で成長ホルモンが分泌されます。成長ホルモンには、脂肪を燃焼する効果がありますので、その後の有酸素運動にも効果的に働きます。
ポーズ例:
プランク→片足を上げたプランク→サイドプランク→片足を上げたサイドプランク、腕立て伏せ→船のポーズ→仰向けになりツイストクランチ→数分のシャバーサナ後に通常のヨガを行う
無酸素運動では体内に乳酸が溜まり、疲労感を感じやすくなります。その後のヨガが疲れて出来ない。という事にならないよう自分の体力に合わせて強度を調節するようにしましょう。
まとめ
今回は有酸素運動・無酸素運動について紹介しました。ヨガは有酸素運動でありますが、強度が高いヨガの場合は無酸素運動にもなりえることが、おわかりいただけたかと思います。パワーヨガやホットヨガ・ビクラムヨガを行った後に強い疲労感を感じたら、無酸素運動だったことにより乳酸が蓄積し、疲労につながった可能性があります。
疲労を感じたからといって悪いことではなく、むしろ筋力アップや、代謝があがる良い兆候です。ヨガに無酸素運動と有酸素運動を組み合わせることで、より効果を得ることもできますので、是非参考にしてくださいね。
ヨガインストラクター。2015年友達に誘われてヨガを行ったことをきっかけに、ヨガの魅力に取りつかれ、毎日ヨガスタジオに通うように。インド人師匠の勧めで、メキシコで開催された2か月間にも及ぶヨガティーチャートレーニングに参加、2017年ビクラムヨガ講師の資格を取得。2018年バリ島にて、バレエヨガ・ピラティスの資格を取得。現在は同じくヨガ講師の夫、3人の子供たちとインドネシアバリ島在住。