アイアンガーヨガはヨガブロックやベルト、または家庭内にある椅子などの補助器具を使うことが特徴で、1つのポーズに対し正しい姿勢を保ちながらじっくりと行います。ヨガブームの火付け役ともいえる、B.K.Sアイアンガーが設立したヨガで、現在世界中で行われています。
今回は、そんなアイアンガーヨガの特徴や効果、ポーズなどについて詳しくご紹介します。
アイアンガーヨガとは?
アイアンガーヨガとは、インド出身のB.K.Sアイアンガーが生み出したヨガです。アイアンガーヨガの特徴は、万人が安全に最大限の恩恵を受けることのできるヨガを目的としていて、器具やプロップスを使って無理せずヨガを行います。
ヨガブームの先駆者
インドでははるか昔から、ヨガは生活の一部として日常に取り入れられてきました。1934年クリシュナマチャリア師のもとで鍛錬を積んでいたB.K.Sアイアンガーは、1950年に世界各地にヨガを広めはじめます。
1966年には「Light on Yoga(ハタヨガの真髄)」を著作し、世界中で翻訳・出版されベストセラーに。この本をきっかけに、西洋にもヨガが伝わり、世界中で本格的なヨガブームが到来しました。ハタヨガの真髄は、詳細で分かりやすいヨガポーズの解説と効果を写真付きで説明しており、現代でもたくさんのヨギー・ヨギーニ達のヨガバイブル本になっています。
プロップスや器具を使い、万人ができるヨガ
アイアンガーヨガの大きな特徴は、無理なく自分にできるポーズを行う事です。例えば前屈を行う際、柔らかい人は簡単に床に手が届くかもしれません。でも、身体が硬い人は床に触れることさえ難しいのが現実です。
それでも床に手をつこうと頑張ってしまうと背中が丸まり、不必要な場所に負担がかかり、結果的に身体を痛める原因にもなってしまいます。そこで、ブロックを使う事で、無理なく手を前につくことができ、正しい姿勢を保ったまま安全に前屈を行うことができます。
アイアンガーヨガの効果やメリット
アイアンガーヨガは、プロップス=補助器具を使用することが大きな特徴です。どんな効果やメリットがあるのか紹介します。
無理せず正しい姿勢がとれる
アイアンガーヨガでは、初心者に限らず上級者でもさまざまな補助器具を使います。ヨガブロック、ボルスターをはじめ、身近にあるベルトから、家にある椅子など、本来の用途を問わずなんでも使います。
アイアンガーヨガでは正しい姿勢=アライメントをとることに重きを置いています。補助器具を使い、正確なアライメントを取ることで、正しい体の使い方を自分自身で学ぶことができます。日々、アイアンガーヨガを行う上で補助器具を必要としなくなっても、本来すべき姿勢を保ちながら自然とポーズを行うことができるというメリットがあります。
心の補助にもなる
プロップスを使いヨガを行うことは肉体の補助と同じく心の安心材料にもなると、B.K.Sアイアンガーは説いています。自分が行ったことがないポーズを行うとき、「自分にできるだろうか、無理して怪我をしないだろうか?」と不安になるかもしれません。
そのような不安も、誰もが補助器具を使う事を前提としたアイアンガーヨガでは、「私にも補助器具があればできる。」と安心感を得て、ストレスフリーでヨガを行うことができるのです。アイアンガーヨガには、プロップスを使う事で、肉体だけではなく精神面も補助する効果があるのです。
日々の生活が向上する
どのような形であれ、身体を動かすと脳への刺激が伝わり、心が上向きになったり、やる気が出ることは医学的にも認められています。アイアンガーヨガを行う上で、自分自身の身体の問題、心の問題に前向きに取り組むことができ、自分と向き合う事で日々の生活が向上します。
また、これはどのヨガスタイルにもいえることですが、忙しい現代人ではヨガを行う時間を捻出するために、少なからず時間の調整を行っていると思います。ヨガの時間を作るために、日々行うことを効率化させたり、不必要な時間(ただSNSを見ることに費やす時間など)を削ったりするだけで、メリハリのある健康的な生活を行うことができます。
アイアンガーヨガはどんな人におすすめ?
前述の通り、アイアンガーヨガでは補助器具を使用し一つ一つのポーズを丁寧に行っていきます。身体のバランスや、体格は人それぞれ。自分に合った補助器具を使いながら正しい姿勢と呼吸を意識し、外面、内面にゆっくりじっくりアプローチしていきます。
絶えず動き続けるフローヨガや、筋肉に強く働きかけるヨガを求めている方には向いていないかもしれませんが、体が硬いと感じる方や、深くじっくりポーズを行いたい方、ヨガ初心者におすすめです。
日々修練を重ねていくことで、初心者クラスだけではなく、レベルを上げた上級者クラスに参加することもできます。自身のヨガスキルをアップさせていきたい人にもおすすめです。また、怪我の後遺症に悩まされていたり、障害がある方も適切な器具を用いて、経験、知識のあるインストラクターのもとでヨガを行うことができます。そのため、身体になにかしらの不調を感じる方にも適したヨガといえるでしょう。
アイアンガーヨガのポーズ
アイアンガーヨガでは必ずこのポーズを行うなどの取り決めはありません。当日の体調で、それぞれ行うポーズを変えることができるのもアイアンガーヨガの特徴です。アイアンガー指導者には長い経験と知識があります。生理中であったり、身体の痛い部分がある場合には、指導者に事前に伝え、個々に合わせたヨガポーズを行いましょう。
アイアンガーヨガのポーズ一例
アイアンガーヨガクラスでは、前半に太陽礼拝を行い、身体が温まってきたら前屈や後屈、体側を伸ばすポーズを行い、最後に逆転ポーズを行う流れが多いようです。
light on yogaに掲載されているポーズだけでも200以上ものポーズがあるので、すべては紹介しきれないのですが、一般的にアイアンガーヨガクラスで行われるポーズ(ごく一部)は以下になります。
- タダーサナ (ツリーポーズ)
- チャトランガダンダーサナ (杖のポーズ)
- ウティッタトリコナーサナ (トライアングルポーズ)
- アルダチャンドラーサナ (ハーフムーンポーズ)
- ナタラジャアーサナ (ダンサーポーズ)
- ウルドゥバダヌラーサナ (ブリッジポーズ)
- シルシャーサナ (ヘッドスタンド)
まとめ
今回は補助器具を使用するアイアンガーヨガについて紹介しました。アイアンガーヨガは万人のためのヨガとして、世界中でたくさんのヨギ・ヨギーニに愛されています。
自分自身の外面、内面のアライメントを整えることで心も体も健康に保つことができるのがアイアンガーの特徴です。アイアンガーヨガ指導者は日本アイアンガーヨガ協会にて確認することができ、それぞれオンラインクラスも開催しています。アイアンガーヨガが気になった方は是非参考にしてみてください。
ヨガインストラクター。2015年友達に誘われてヨガを行ったことをきっかけに、ヨガの魅力に取りつかれ、毎日ヨガスタジオに通うように。インド人師匠の勧めで、メキシコで開催された2か月間にも及ぶヨガティーチャートレーニングに参加、2017年ビクラムヨガ講師の資格を取得。2018年バリ島にて、バレエヨガ・ピラティスの資格を取得。現在は同じくヨガ講師の夫、3人の子供たちとインドネシアバリ島在住。