ルーシーダットンとは、タイ式ヨガともいわれるタイ由来のエクササイズです。仙人が修行中に自分で整体を行うためにルーシーダットンをしていたことから、自己整体とも呼ばれています。
今回は、そんなルーシーダットンについて紹介します。ルーシーダットンの効果やおすすめのポーズも紹介しているので是非参考にしてください。
ルーシーダットンとは?
ルーシーダットンは、タイ語で、ルーシー(仙人)ダッ(ストレッチ)トン(自分)という意味で、仙人が修行中に自分で疲れをとるためのストレッチを行っていたことから、ルーシーダットンと呼ばれています。
自分で自分を整える自己整体
ルーシーダットンは、自己整体とも呼ばれています。タイの仙人が修行中に自身の疲れをいやすため、自分で整体を行ったことから由来しています。
人に施術してもらう整体と異なり、身体のゆがみを自分自身で矯正するのが、ルーシーダットンなのです。
タイで絶大な信頼を誇るルーシーダットン
ルーシーダットンの歴史は古く、ルーシーダットン発祥の地であるワット・ポー(タイの寺院)には、修行僧がルーシーダットンを行っている像があります。また、ルーシーダットンは、タイでマッサージ師の資格を得る際、タイ保健省管轄のマッサージ師養成学校で必ず習得しなければいけない必修科目として義務付けられています。
なぜかというと、マッサージ師は施術する側であり、施術される側になることが少ないため、マッサージ師自身の健康管理のために、習得する必要があるとのこと。ルーシーダットンはそれだけタイで信頼され、健康維持に用いられているのです。
ルーシーダットンの効果
ルーシーダットンは完全呼吸法と呼ばれる独自の呼吸をしながら動き、歪んだ身体を整えたり、疲労回復を促すエクササイズです。ルーシーダットンを行うことで得られる効果には主に以下があります。
- 疲労回復・体力向上
- 血行促進・むくみ改善
- 内臓機能の向上
- 筋力向上
- 高血圧の改善
- 安眠効果・精神安定
- 姿勢・歪みの改善
ヨガや、ピラティスでも同様の効果が得られますが、ルーシーダットンは2500年の歴史があるタイ古式マッサージがルーツとなっています。タイ古式マッサージでは、足を刺激してリンパの流れを促進します。
ルーシーダットンも同様に、足を重点的に刺激しリンパの流れを良くするポーズが多いため、ヨガやピラティスよりも内臓機能や高血圧の改善など、血流を良くする効果が高く、日々の健康促進にはより効果を感じやすいという特徴があります。
ルーシーダットンとヨガ・ピラティスの違い
タイ式ヨガともいわれるルーシーダットンですが、ヨガ・ピラティスと何が違うのか気になる方も多いのではないでしょうか?ルーシーダットンと、ヨガ・ピラティスの違いについて紹介します。
腹式呼吸+胸式呼吸の完全呼吸法
ルーシーダットンとヨガ・プラティスの違いには、呼吸法が挙げられます。基本的に、ヨガでは鼻呼吸や腹式呼吸、ピラティスでは胸式呼吸が用いられますが、ルーシーダットンでは、腹式と胸式を足した「完全呼吸法」で行います。ルーシーダットンの完全呼吸法は以下になります。
- ポーズをとりつつ、5秒カウントしながら鼻から息を吸う
- ポーズをホールドし、3秒呼吸を止める
- ゆっくりと5秒カウントしながら口から息を吐き、ポーズを終える
ヨガやピラティスではポーズ中に呼吸を止めることはしませんが、ルーシーダットンでは呼吸を止めるのが大きな特徴です。
老若男女問わず行える簡単なポーズ
前述したとおり、ルーシーダットンは修行中の仙人が行う自己整体です。そのため複雑なポーズはなく、誰でも行える簡単なポーズが多くあります。
柔軟性を高めたり筋力向上を目標とするヨガやピラティスと異なり、ルーシーダットンは疲労回復や健康維持を目的としているため、どんな方でも行えるのが特徴です。
健康面のみにフォーカスしたエクササイズ
ヨガは身体だけではなく精神面も整え、ピラティスは身体の体幹を強化し筋力を上げるエクササイズです。対してルーシーダットンは、健康面のみにフォーカスしたエクササイズとなっており、ルーシーダットンで身体を動かすことで、日々の疲れを癒し、呼吸法で血流の循環を良くすることで内臓機能を改善するなど、毎日の健康維持に焦点をあてています。
柔軟性の向上を目的としたヨガや、筋力増強・シェイプアップを目的とするピラティスとはこのような健康面での認識の違いがあるのです。
ルーシーダットンの代表的なポーズ
ルーシーダットンは、体を動かすことに重点を充てたポーズが多く、誰でも簡単にできるのが特徴です。ルーシーダットンを代表するポーズをいくつか紹介するので、ぜひ挑戦してみてくださいね。
※ポーズを行う際には完全呼吸法も忘れずに
ポーズを行う際に、5秒間かけて鼻から息を吸い、ポーズを止めた状態で3秒呼吸をホールド。ポーズを解きながら5秒かけて口から息を吐きだしましょう。
長寿のポーズ
長寿のポーズは、スクワットのように足を開き、ひざを曲げ、やや腰を落とした状態で両手を前に持ってきます。まるで杖を握っているように両手の握りこぶしを重ねます。
このポーズは足腰を強くし、腕のストレッチ効果があります。運動不足を感じた時に行うのもよいでしょう。
弓をひく仙人のポーズ
ヨガマットの上に座り、あぐらをかいたら、左足だけ横にまっすぐ伸ばします。(右ひざのみ曲がった状態)両腕を胸の高さに持っていき、両手でサムズアップ(親指を立てた握りこぶし)。まるで弓をひくように右ひじを曲げ、左腕はまっすぐ左方向へ伸ばしましょう。反対も同様に行います。
このポーズはひざの可動域を広げ、股関節を伸ばします。弓をひく際、胸が自然と開くので、肩こり改善にもつながりますよ。
橋のポーズ
仰向けに寝てお尻を天井に向かって引き上げる橋のポーズはヨガにもありますが、ルーシーダットンでは若干異なります。ヨガマットの上にあおむけで寝て、両手は体の横に手のひらを下にして置きます。足を軽く身体の方へ引き寄せ、ひざを曲げてお尻を上げます。
ヨガポーズでは、足は膝の真下に置き、胸を反らせるように行う負荷の高いポーズですが、ルーシーダットンでは胸を反らせず、お尻を上げる程度で構いません。このポーズは骨盤のゆがみの矯正、腰痛改善などの効果があります。
まとめ
今回はタイの伝統的なエクササイズであるルーシーダットンを紹介しました。ルーシーダットンは仙人体操、自己整体とも言われ、タイで絶大な信頼を誇っています。簡単なポーズが多いことから、家事の合間や、仕事でパソコン作業につかれた時など気分転換に行うこともできます。
修行中の仙人が、疲れを癒すために用いていたルーシーダットンは、忙しい現代人の疲れを癒すには最適ともいえるでしょう。ぜひルーシーダットンを日常生活に取り入れてみてくださいね。
ヨガインストラクター。2015年友達に誘われてヨガを行ったことをきっかけに、ヨガの魅力に取りつかれ、毎日ヨガスタジオに通うように。インド人師匠の勧めで、メキシコで開催された2か月間にも及ぶヨガティーチャートレーニングに参加、2017年ビクラムヨガ講師の資格を取得。2018年バリ島にて、バレエヨガ・ピラティスの資格を取得。現在は同じくヨガ講師の夫、3人の子供たちとインドネシアバリ島在住。