ヨガレッスンに頻繁に登場するチャイルドポーズ。簡単であるがゆえに、意識してこのポーズをとることは少ないかもしれませんが、チャイルドポーズの正しいやり方と、その効果を理解することで、心地よさがグッとアップするでしょう。
本記事では、チャイルドポーズをとる意味と、その効果、基本的なやり方と、ポーズがうまくとれないときの対処法をご紹介します。
ヨガのチャイルドポーズとは?
チャイルドポーズは、サンスクリット語で「バーラ・アーサナ」といい、「子供のポーズ」という意味をもちます。誰でも簡単にできるポーズで、1時間以上のヨガレッスンには、ほぼ必ず登場する、とてもポピュラーなポーズです。
チャイルドポーズをとる意味
リラック効果が高く、レッスン中の休憩として取り入れられることが多いチャイルドポーズ。また、背中を気持ちよくストレッチできるため、後屈系アーサナのカウンターポーズとしても、よく採用されます。どちらの場合も、リラックスして体と心をゆるめることを目的としているため、チャイルドポーズ=自分に安らぎを与える時間、となります。
休憩としてのチャイルドポーズ
チャイルドポーズは、肩の力を抜き、脱力するポーズです。ヨガに集中するには、呼吸に合わせ、流れるような動きの中に身をおくことが有効ですが、その流れを妨げることのないチャイルドポーズは、休憩すらも一連の流れの中に、自然に溶けこませることができます。
チャイルドポーズをうまく取り入れたシークエンス(ポーズや呼吸の順番)は、参加者の集中力を高め、ヨガの良い効果を何倍にも引き立てることができるのです。
逆転系アーサナの準備・後屈系アーサナのカウンターポーズにも
チャイルドポーズは、頭を少しだけ心臓より低くし、背中をストレッチする体勢のため、逆転系アーサナの準備や、後屈系アーサナのカウンターポーズとしても、よく取り入れられます。例えば、チャイルドポーズからウッタナ・シショーサナ(子犬のポーズ)、アド・ムカ・シュヴァーナーサナ(下向きの犬)とつなげることで、体への負担を最小限に、ゆるやかに逆転の体勢に入ることができるでしょう。
また、ブジャンガーサナ(コブラのポーズ)など後屈系アーサナの後に、チャイルドポーズを入れることで、緊張した背中の筋肉をゆるめ、体のバランスを整える効果もあります。
チャイルドポーズ
ウッタナ・シショーサナ(子犬のポーズ)
アド・ムカ・シュヴァーナーサナ(下向きの犬)
チャイルドポーズの効果
とてもシンプルなチャイルドポーズですが、たくさんの良い効果があります。ただ脱力するだけではなく、チャイルドポーズの効果を理解し、それを意識してポーズに入ることで、自分の内面や、体の変化を、敏感に感じることができるでしょう。
リラックス効果
チャイルドポーズは、一時的なリフレッシュではなく、深いリラックスをもたらす効果があります。深いリラックスを得るためには、自分の呼吸を感じることがポイントです。よい香りを吸い込むようにたっぷりと息を吸い、吐く息は細く長く、最後まで吐ききり、その音に耳を傾けましょう。
自分の呼吸を感じ、それだけに集中することで、余計な考えから解放され、ストレスの元となる過去の記憶や、未来への不安も手放すことができます。
疲労回復
上半身を脱力し、ここちよく体重をあずけることができるチャイルドポーズは、疲労回復に効果的です。体の疲れはもちろん、自分の呼吸に集中することで、頭の中がすっきりするため、脳の疲労も回復することができます。
ポーズの合間の休憩としてだけとらえるのではなく、その心地よさと、呼吸に集中することで、心も生き生きと整っていきます。
腰痛の緩和
チャイルドポーズは、背中・おしりまわりの筋肉がストレッチされ、血行が促進されるため、腰痛の緩和にも効果的です。運動が苦手な方でも、簡単にできるポーズですので、デスクワークの合間に取り入れてもよいでしょう。
また、ベッドの上でもできるため、寝る前や、朝起きたときに、体をやさしくほぐすストレッチとしてもおすすめです。
チャイルドポーズのやり方
では、チャイルドポーズの基本的なやり方をご紹介します。
基本のかたち
正座の姿勢から、上半身を前にたおし、両手を前方向に伸ばします。ひたいを床につけ、太ももに体重をあずけるように、脱力しましょう。
首・肩はリラックス
首・肩をリラックスさせて、深い呼吸を通しましょう。チャイルドポーズの腕のポジションは、前方に伸ばす、肘を曲げて軽く前につく、あし側に流すなど、バリエーションがたくさんあります。
正しい形よりも、心地よさの方が大切なポーズですので、自分の体・呼吸をよく観察していただき、首・肩の力を抜きやすい位置におくのがおすすめです。
背中を意識した深い呼吸
チャイルドポーズでは、腹部が圧迫されているため、お腹に息を入れようとすると力んでしまいます。力を抜き、息を吸ったときに、肺の背中側が大きくふくらむのを感じてみましょう。
また、ヨガは鼻呼吸が基本ですが、チャイルドポーズでは、口から息を吐くのもおすすめです。口からため息をつくように息を吐くことで、力が抜け、呼吸の音もよく聞こえるため、リラックスしやすくなります。
チャイルドポーズがうまくできないときは?
チャイルドポーズをしたときに、「おしりがかかとにつかない」、「おなかが苦しい」と感じたことはありませんか?チャイルドポーズは休憩のポーズです。安定して、快適な状態でなければ、呼吸は通らず休憩もできません。そんなときは、少しの工夫で心地よくポーズをとることができますので、ぜひ参考にしてみてください。
おしりがつかない
正座したときにおしりがかかとにつかない主な原因は、股関節・膝関節まわりの筋肉(とくに太もも前側の筋肉)のかたさです。股関節のストレッチや、アンジャネアーサナ(三日月のポーズ)、スリーピングスワン、スプタヴィラーサナ(仰向けの割座)はとても有効です。
また、浮いてしまうおしりの下にクッションをはさむことでも、安定感が増し、心地よくポーズをとることができるでしょう。
アンジャネアーサナ(三日月のポーズ)
スリーピングスワン
スプタヴィラーサナ(仰向けの割座)
おなかが苦しい
太ももにおなかがあたり、苦しいときは、ひざを軽くひらき、その中にお腹を落としてみてください。反り腰になってしまう場合は、お腹の下にクッションをはさむか、尾骨をまき込むように、少しだけ骨盤を後傾させるとよいでしょう。
自分が快適な状態でいられるように、クッションなどの道具は遠慮せずにつかいましょう。
まとめ
シンプルで簡単なのに、良い効果がたくさんあるチャイルドポーズ。ヨガのレッスンではもちろん、普段のストレッチとしてもとてもおすすめです。チャイルドポーズをうまく取り入れて、自分を癒し、心と体を整えましょう。
東京都を中心に活動するIHTA認定ヨガインストラクター。会社員としての経験を持ち、自身の健康を意識することからヨガを始める。身体だけでなく、心も健康にするヨガの魅力を知り、この魅力を広く伝えたいという思いからヨガインストラクターに転身。マインドを明るくするような朝ヨガ・リフレッシュ効果の高いフロー感のあるヨガを得意とする。