ヨガの三日月のポーズは、美しいフォルムできもちよく体を伸ばすことができるため、とても人気があります。初心者のかたでもトライしやすく、他のポーズへもつなげやすいため、ヨガが初めての方から上級者の方まで、誰でもたのしめるポーズです。
今回は、三日月のポーズのうれしい効果とそのやり方を、イラスト付きでご紹介します!
ヨガの三日月のポーズとは?
ヨガの三日月のポーズは、サンスクリット語で「アンジャネアーサナ」といい、上半身を気持ちよく空に向かって伸ばす姿が、三日月にみえることがその名の由来といわれています。
下半身は、股関節をストレッチしながら安定させ、上半身は、胸をひらきながら上に伸びあがり、呼吸をとおします。だれでもトライしやすいポーズのため、ヨガレッスンに頻繁に登場する、定番ポーズのひとつです。
三日月のポーズのバリエーション
三日月のポーズにはたくさんのバリエーションがありますが、初心者の方におすすめなのが、両手を太ももに添えるやさしいバリエーションです。安定感がありバランスがとりやすく、三日月のポーズが初めてでも、安心してチャレンジすることができます。
やさしいバリエーション
※足の甲は寝かせてもOKです。
三日月のポーズの効果
全身をおおきくつかう三日月のポーズは、体とってうれしい効果がたくさんあるのはもちろん、胸をひらいて気持ちよく呼吸がとおるため、心にとっても良い効果がたくさんあります。
デトックス効果
三日月のポーズでは、股関節を大きくひらく姿勢で、前あしのつけ根を屈曲させ、後ろあしのつけ根を伸ばします。あしのつけ根には、とても大きなリンパ節、鼠径リンパ節があるため、ここを刺激することでリンパの流れを促進し、老廃物をスムーズに流します。
体内の老廃物の90%はリンパ管を通って運ばれ、全体の95%が便か尿で排出されるため、リンパの流れがよくなることで、デトックスが進み、美肌やむくみの改善が期待できるのです。
姿勢改善
三日月のポーズでよくストレッチされるのは、股関節を屈曲(太ももとお腹が近づく姿勢)させる筋肉、腸腰筋です。とくに、反り腰の方は腸腰筋が固くなっている場合が多く、ここをストレッチすると、反り腰の改善にとても効果があります。
反り腰の方は、三日月のポーズで上半身が前に倒れやすいため、しっぽの骨、尾骨を前に巻き込む意識で、上体をまっすぐ起こすことを意識しましょう。また、猫背の方は、おしりの筋肉が固くなっていることが多いため、前あしをしっかり踏みこみ、おしりの伸びを感じてポーズをキープしてみてください。
前向きな気持ちになる
三日月のポーズは、イライラするとき、落ち込んでしまったときでも、前向きでポジティブな気持ちにしてくれます。下半身を安定させるため、体幹の筋肉を働かせてバランスをとりますが、体幹を働かせることで、心身を活性化する交感神経が優位な状態になります。
交感神経が優位になると、集中力が増し、やる気がアップしますが、優位になりすぎると筋肉が過剰に緊張してしまうため、上半身はリラックスさせ、深い呼吸をとおしましょう。交感神経がほどよく優位な状態で、深い呼吸をとおすことで、ポジティブな気持ちに変化していきます。お仕事で心が疲れてしまったときなどには、とてもおすすめなポーズです。
分かりやすいイラストつき!三日月のポーズのやり方
では、三日月のポーズのやり方を、イラスト付きでご紹介します。
土台を安定させる
三日月のポーズに限らず、ヨガのポーズ(アーサナ)は、安定感が一番重要です。安定感があって、初めて快適に呼吸をとおすことができます。
三日月のポーズの土台を安定させるポイントは3つ、①前あしのポジショニング、②体重のかけ方、③体幹の使い方です。
前あしのポジショニング
前のあしは、かかとがひざの真下に来るようにセットしましょう。ひざが曲がりすぎていると、ひざ関節に負担がかかり、かかとが前に出すぎていると、バランスをとるのが難しくなります。かかとをひざの真下に置くのが難しい場合は、足幅をせまくするか、両手の下にブロックを置き、高さをだしてみてください。安定感がグッとアップしますよ。
体重のかけ方
三日月のポーズで、前あしの太ももがつらい、とよく耳にしますが、それは前あしばかりに体重をかけすぎているから。前に体重がかかりすぎると、ひざにも負担がかかるため、注意が必要です。後ろのあしでもしっかりマットを押して、体重を分散させましょう。両あしでしっかりと床を押すと、その力が上半身を上方向に伸びあがらせる力に変わります。見えている前のあしにばかり意識が向きがちですが、大切なのは、見えていない後ろのあしなのです。
体幹を働かせる
3つめは、体幹を働かせることです。体幹とは、胴体部分の筋肉群で、下腹をすこし引き締めることで起動します。「おなかを固く!」という意識をもつと、肩に力がはいってしまうため、下腹を1cm引き締めるだけでOKです。広がっていた内臓が中央に固まり、体に芯ができるため、安定感が大幅にアップしますよ。三日月のポーズに限らず、立位のバランスポーズなどにも使えますので、ぜひ試してみてください。
上体を起こす
土台が安定したら、両手をひざにそえ、太ももからお腹を引き離すように上体を起こし、しっぽの骨、尾骨を真下に向けます。反り腰がくせになっている方は、骨盤が前に倒れやすいため、「上体を起こすことが難しい」と感じるかもしれません。そんなときは、後ろのひざを一歩前にだし、足幅を狭くしましょう。他の人と比べる必要はありません。
後ろあしのつけ根に伸びを感じられる程度に股関節が開いていれば、それでOKです。一方で、上体を起こしたときに、後ろあしのつけ根に伸びを感じない場合は、後ろのひざを一歩後ろに下げ、足幅を広げます。自分の体の状態をよく観察して、心地よいポジションを探しましょう。
お尻を沈める
しっかりと上体を起こしたら、しっぽの骨、尾骨が真下を向いた状態を保ち、お尻を床方向に沈めます。骨盤が前に傾き、腰がそってしまう場合はおしりを下げる必要はありません。
あくまでもしっかりと上体をおこしたときに、余裕がある場合のプラスアルファです。このときも、体重は両足均等に乗せ、前ひざばかりを踏み込まないように意識しましょう。
両手を上げる
下半身はどっしり安定、上半身はまっすぐ上に伸びる体勢をつくったら、最後に両手を天井方向に持ち上げます。肩の力は抜いて、半円を柔らかく描くように持ち上げましょう。
余裕があれば、みぞおちから更に体を上に引き上げるように胸を開きます。ポーズが整ったら、呼吸に集中。5回ほど深い呼吸をとおしたら手を降ろし、腰を伸ばすチャイルドポーズなどで休憩しましょう。
まとめ
体をしなやかに保ち、心の状態もととのえてくれる三日月のポーズ。自分の体をよく観察しながら、気持ちよくポーズをとっているうちに、安定感やストレッチが深まっていきます。慣れてきたらいろんなバリエーションを試し、自分に合う三日月のポーズをみつけることでも、ヨガの楽しさが増えていきますよ。
東京都を中心に活動するIHTA認定ヨガインストラクター。会社員としての経験を持ち、自身の健康を意識することからヨガを始める。身体だけでなく、心も健康にするヨガの魅力を知り、この魅力を広く伝えたいという思いからヨガインストラクターに転身。マインドを明るくするような朝ヨガ・リフレッシュ効果の高いフロー感のあるヨガを得意とする。