ヨガをしていると「シークエンス」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。実は、シークエンスはヨガレッスンの良し悪しを決めるとても大切なものなのです。
本記事では、ヨガのシークエンスとは何か、その役割、効果的なシークエンスをつくるコツと、60分シークエンスの実例をご紹介します。
ヨガのシークエンスってなに?
ヨガの「シークエンス」とは、呼吸、アーサナ(ポーズ)、瞑想など、レッスンを構成する要素の順番を指します。ヨガの1番の目的は、心をしずめ、整えること。良いシークエンスは、むりなく体をほぐし、呼吸がとおるため、効果的に心をしずめ、整えることができるのです。
ヨガのシークエンスの役割
シークエンスは、ヨガレッスンの良し悪しを決める、レシピのようなものです。レッスンのテーマに沿い、そのテーマにマッチする呼吸やアーサナ(ポーズ)を合わせることで、レッスンの満足度が格段にアップするのです。
一方で、シークエンスの精度が低いと、参加者がヨガから離れてしまうリスクもあります。「リラックスヨガ」なのにむずかしいポーズばかり、「パワーヨガ」なのにリラックスポーズばかりでは、求められている効果を感じていただけないでしょう。また、自分のためにシークエンスを組むときも、ヨガでどうなりたいか、目的を常に意識し、そこに向かうシークエンスを作ることがとても大切です。
効果的なシークエンスを作るコツ
では、どうすれば効果的なシークエンスを作ることができるのか、具体的に解説します。
基本的な流れを知る
まずは、レッスンの基本的な流れをおぼえましょう。ヨガはゆっくりとした動きですが、深い呼吸を通しながら、一定時間体を動かす有酸素運動でもあります。心拍数を縦軸、時間を横軸として、ゆるやかなベルカーブを描くように、呼吸やポーズを組み立てるのが、体に負担のない基本的なレッスンの流れです。
また、アーサナ(ポーズ)の姿勢を大きく分けると、臥位(寝た状態)、座位、四つ這い、立位に分かれます。人は臥位(寝た状態)で生まれ、座り、はいはいをはじめ、立ち上がり、臥位(寝た状態)で人生を終えていきます。この自然の流れに寄りそい、レッスンを人生に例え、同じようにアーサナ(ポーズ)を変化させることでも、ゆるやかなベルカーブができるため、とても自然でやさしいレッスンになるのです。
レッスンのテーマを決める
次に、もっとも大切なレッスンのテーマをきめます。ゴールがはっきりしなければ、そこへ向かうシークエンスもありません。「冷え対策」「シェイプアップ」など、体にフォーカスしても良いですし、「集中力をたかめる」「リラックス」など心にフォーカスしても良いでしょう。
テーマ=「ヨガをしてどうなりたいか」というゴールがはっきりするため、そこへ向かうためのポーズや呼吸を選びやすくなります。
メインポーズから組み立てる
テーマが決まったら、そのゴールを達成するためのメインポーズから決めると、軸がブレにくくなります。メインのポーズを決め、そのポーズに向かうための準備として、時間をまき戻すように前半を組み立てます。
後半は、メインポーズと反対の動きをとりいれつつ、すこしずつ心拍数がおちつくような呼吸やポーズへと展開することで、バランスよくクロージングに向かうことができるでしょう。メインポーズを軸に組み立てると、1つ1つのポーズに意味が生まれるため、「シークエンスが覚えられない!」という方にもおすすめの方法です。
動きのフロー感をたいせつに
最後に、組み立てたシークエンスを自分の体で確認しましょう。どこかで、「やりにくい」、「動きが不自然」と感じるポイントが出てくるのではないでしょうか。レッスンで大切にしたいのは、無駄のないフロー感です。
ヨガの魅力の1つは、「非現実感」ですが、不自然な動きはその集中を途切れさせ、参加者を現実に引きもどしてしまいます。組み立てたシークエンスをなんども自分で試し、ポーズや呼吸の順番を入れ替え、参加者がストレスフリーに動けるレッスンを目指しましょう。
初心者必見!60分レッスンシークエンスの実例
ここで、60分ヨガレッスンのシークエンスの実例をご紹介します。テーマは「集中力を高める」、太陽礼拝Aをメインポーズに置き、そこに向けた準備と、そこからベルカーブを下げていくシークエンスです。ただし、シークエンスに「これが正解!」というものはないため、基本を知り、コツを押さえた上で、ぜひ自分でもレッスンを組み立ててみてください。
ウォームアップ
- 内観の時間
- 深い鼻呼吸の練習(座位)
- 大胸筋ストレッチ(仰臥位)
- 片脚のガス抜きのポーズ(仰臥位)
- ハムストリングス・下腿三頭筋・内転筋のストレッチ(仰臥位)
- 肩を下げ、腕を上げる練習(座位)
- 脊柱のストレッチ(座位)
メインパート
- ジャーヌシルシャーサナ(片脚前屈)(座位)
- アルダ・マツエンドラーサナ(座位のねじりのポーズ)(座位)
- カポターサナ(横向きの鳩のポーズ)(座位)
- ビダーラアーサナ(キャット&カウ)(四つ這い)
- バーラアーサナ(チャイルドポーズ)(四つ這い)
- アド・ムカ・シュヴァーナーサナ(下向きの犬のポーズ)(四つ這い)
- タダーサナ(山のポーズ)(立位)
- 胸式呼吸の練習(立位)
- スーリヤ・ナマスカーラA(太陽礼拝A)・・・メインポーズ
- パールシュヴァ・チャンドラーサナ(立位の三日月のポーズ)(立位)
- 立位のねじり(立位)
- トリコナーサナ(三角のポーズ)(立位)
- アド・ムカ・シュヴァーナーサナ(下向きの犬のポーズ)(四つ這い)
- バーラアーサナ(チャイルドポーズ)
クールダウン
- パリブリッタ・ジャーヌシルシャーサナ(ねじった片脚前屈)(座位)
- バッタコナーサナ(がっせきのポーズ)(座位)
- セツバンダーサナ(橋のポーズ)(仰臥位)
- パヴァナムクタアーサナ(ガス抜きのポーズ)(仰臥位)
- 両手足のストレッチ&脱力
- シャバーサナ(屍のポーズ) (仰臥位)
- ピンダーサナ(やさしい胎児のポーズ) (横臥位)
- 内観の時間 (座位)
まとめ
最初はむずかしいと感じるシークエンス作りですが、まずは基本的な流れを大切に、明確なゴールを決め、組み立てるところから始めましょう。積み重ねるごとに気づきが生まれ、自分だけのシークエンスにブラッシュアップさせていきます。1回1回の成長を感じ、自分のヨガを育ててみてください。
東京都を中心に活動するIHTA認定ヨガインストラクター。会社員としての経験を持ち、自身の健康を意識することからヨガを始める。身体だけでなく、心も健康にするヨガの魅力を知り、この魅力を広く伝えたいという思いからヨガインストラクターに転身。マインドを明るくするような朝ヨガ・リフレッシュ効果の高いフロー感のあるヨガを得意とする。