ヨガのレッスンによく登場する橋のポーズ。普段あまり使わない背中の筋肉をつかい、体の前面をストレッチすることで、心と体にとって良い効果がたくさんあります。
初心者でもトライしやすいポーズではありますが、関節に負担をかけないやり方をおさえておかなければ、ケガにつながることも。今回は、橋のポーズのやり方と注意点、その効果をご紹介します。
ヨガの橋のポーズとは?
ヨガの橋のポーズは、サンスクリット語で「セツ・バンダ・サルヴァンガーサナ」、セツ=橋、バンダ=エネルギーの出入り口をロックする、サルヴァンガ=全身、という意味で、全身で、橋のようなアーチをつくることから、その名前が付けられたといわれています。
橋のポーズのやり方
まずは、安全に橋のポーズをとるためのステップをご紹介します。
土台を整える
どんなポーズも土台が8割を決めます。両手足でしっかりと体がささえられるように、ていねいに土台を作りましょう。ひざを立てた仰向けになり、恥骨から鎖骨の真ん中、眉間までをまっすぐに保ちます。ひざの角度は90度程度、足の間・ひざの間はこぶし1つ分のスペースをとって。骨盤をニュートラル(正しい位置)にするため、腰と床のすき間はてのひら1枚分に保ちます。
そのときに、ろっ骨が開かないように、みぞおちの裏は床につけましょう。両手をななめ下に下ろし、てのひらは下向きに、しっかりと床をとらえてください。
背骨をなめらかに動かし、太ももを引き上げる
土台がととのったら、一度息を吐き、吸いながらお尻、背中、肩甲骨の順番で体を持ち上げて。背骨を滑らかに動かし、太ももを一番高い位置に引き上げます。ポーズの解放もていねいに、吐く息で背骨の上の方から体を床に下ろしていきましょう。
ヨガは、呼吸が動きを先導しますが、橋のポーズには、吸う呼吸で体を引き上げるやり方と、吐きながら引き上げる、2つのパターンがあり、それぞれに違ったよさがあります。息を吸いながら体を引き上げると、胸が開き、呼吸の深まりを感じやすいでしょう。
一方で、息を吐きながら体を引き上げると、腹筋が起動しやすく、安定して体を引き上げることができます。目的に合わせ呼吸を使い分けることで、同じ橋のポーズでも、違った良さを感じることができますよ。
深い呼吸を通す
橋のポーズでは、両手・両足でしっかりと床を押し、太ももを一番高く持ち上げた状態で、3呼吸程キープします。
数呼吸で胸を開き、吐く呼吸で腰が落ちないように、少し下腹を引きしめて。ろっ骨から鎖骨の裏まで、たっぷりと空気をいれるような、深い胸式呼吸を意識しましょう。
橋のポーズの注意点
橋のポーズは、シンプルな動きのため、初心者でもトライしやすいポーズではありますが、ポイントをおさえなければ、首やひざの関節を痛めやすい体勢でもあります。ケガをせず、安全にポーズをとるために、次のポイントを覚えておきましょう。
途中で首を動かさない
橋のポーズは、頭も体を支える支点の1つとなるため、途中で首を動かすと痛めてしまうことがあります。首の後ろは長く保ち、あごを軽く引いた状態で、目線を天井方向に一転集中させましょう。
インストラクターの姿が見えなくて不安になるかもしれませんが、間違えてしまっても大丈夫。間違えてしまったときは、必ずインストラクターが直してくれますので、途中で首を動かし、ポーズの確認をするのは避けましょう。
足幅・ひざの幅はこぶし1つ分をキープ
橋のポーズで体を引き上げたときに、ひざが開いてしまったことはありませんか?太もも内側の筋肉が弱いと、橋のポーズでひざがひらき、関節がねじれるため、膝関節を痛めやすい体勢になってしまいます。足幅・ひざ幅はいつでもこぶし1つ分です。
太ももの内側はとても鍛えにくい筋肉ですが、太ももにヨガブロックや丸めたタオルを挟み、それを落とさないように橋のポーズをとることで、よく鍛えられます。ブロックやタオルがないときは、ひざ頭に車のヘッドライトがついていると想像してください。体を引き上げたときに、そのライトで、まっすぐ遠くを照らすようなイメージを持つと、ひざが開きにくくなります。
橋のポーズの効果
次に、橋のポーズでどんなよいことが起こるのかを見ていきましょう。
血行促進
橋のポーズは、頭を心臓より下にする、逆転のポーズの1つです。頭を下にすることで、普段体の下の方に滞りやすい血液や体液の巡りがよくなり、新鮮な酸素や栄養が体中に行きわたるようになります。
血行が促進されることで、冷えやコリが解消し、お肌の代謝も上がることで、美肌効果も期待できるため、特に女性にとって、うれしい効果がたくさんあるポーズなのです。
不良姿勢を改善
日常生活では、体の前側で行う作業がとても多いため、体の前側の筋肉はこり固まりやすく、背中の筋肉は弱くなりがちです。橋のポーズでは、背面の筋肉を使い、体を支えながら、体の前面をストレッチすることができるため、不良姿勢の改善にとても効果的。
特に、猫背・巻き肩の方は、胸・肩まわりの気持ちよいストレッチを感じて、ポーズをキープしてください。
集中力UP
橋のポーズで血行がよくなると、脳にも十分な酸素が行きわたるようになります。脳は、全体の20%もの酸素を必要とする器官で、普段呼吸が浅いと、日中の集中力が続かず、仕事中にぼーっとしてしまうことも。
橋のポーズで胸を開き、たっぷりと脳に酸素を送ることで、集中力がグッとアップします。
自律神経を整える
橋のポーズで背中を滑らかに動かすことで、背骨まわりの筋肉、脊柱起立筋が良く動き、解れていきます。脊柱の中には、自律神経の束がとおっているため、脊柱周辺をやわらかく保つことは、自律神経の安定に欠かせません。
自律神経が整うと、生活と自律神経のリズムが合い、昼間は精力的に活動し、夜はぐっすり眠れるようになります。
まとめ
ヨガレッスンにたびたび登場するヨガの橋のポーズ。首やひざを痛めないようにポイントを抑えておけば、初心者の方でも安全にポーズをとることができます。ヨガだけでなく、ピラティスやボディメイクエクササイズ、高齢者向けの健康体操にも、似たポーズがでてきますが、それだけ大切な筋肉を鍛え、ストレッチができるポーズなのです。橋のポーズを上手に日常に取り入れて、生活の質をUPさせましょう。
東京都を中心に活動するIHTA認定ヨガインストラクター。会社員としての経験を持ち、自身の健康を意識することからヨガを始める。身体だけでなく、心も健康にするヨガの魅力を知り、この魅力を広く伝えたいという思いからヨガインストラクターに転身。マインドを明るくするような朝ヨガ・リフレッシュ効果の高いフロー感のあるヨガを得意とする。