ヨガの猫のポーズの効果とできないときの対策を解説!腰痛になやむ反り腰&猫背さん必見!

ヨガのレッスンにたびたび登場する猫のポーズ。ヨガが初めての方、体が固い方でも無理なくチャレンジできる、やさしいポーズです。動きはシンプルですが、実は、「忙しいときにはこれだけやって!」というほど良い効果がたくさんある、すごいポーズなのです。

今回は、猫のポーズの効果と、うまくポーズができないときの対策をご紹介します。

ヨガの猫のポーズとは

ヨガポーズ

猫のポーズは、サンスクリット語で「ビダーラアーサナ」や「マージャラアーサナ」など、複数の呼び方があります。よつんばいで、猫のように背中をまるめる姿勢と、牛のように背中を反らせるような姿勢を交互にとることから、ヨガのレッスンでは、一般的に「キャット&カウ」とも呼ばれています。

猫のポーズのやり方

よつんばいになり、足のつけ根の下にひざ、肩の下に手首、目線はななめ前の床に置きます。息を吐きながら、しっぽの骨、尾骨をまきこむように骨盤を後ろにたおし、腰、背中と下から順番に背骨をまるくしていきましょう。最後に肩甲骨を開くように両腕で床を押し、目線をひざにおとします。

頭・首をリラックスさせ、両手、両足で均等に床を押して、おなかのそこから息を吐き切って。吸う呼吸が自然に生まれる瞬間に、足のつけ根を引きこむように骨盤を前にたおし、みぞおちから斜め上に上体を引き上げ、息を吸い切るころに目線を正面に向けます。「腰を反らせる」という意識ではなく、「骨盤を前にたおし、みぞおちから伸びあがる」ようにすると、しなやかに動くことができますよ。

猫のポーズの呼吸

猫のポーズでは、呼吸が動きを先導するように姿勢を切りかえていきます。ヨガのレッスンでは、吐く呼吸で、背中をまるめる「猫」の姿勢に入ることが多くありますが、吐きながらおなかをグッと縮めることで、深部の筋肉を意識しやすくなり、体幹やインナーマッスルに効かせることができるのです。

一方で、息を吸いながら「猫」の姿勢に入る方法にもメリットはあり、背中のストレッチや、背中を意識した深い呼吸の練習には、こちらの方が向いています。「背中をまるめるときに、吸うの?吐くの?」と、わからなくなってしまったことはありませんか?そんなときは、深い呼吸が動きを先導していれば、どちらでもよいのです。猫のポーズでどうなりたいか、目的に応じて呼吸を変化させてみると、いつもと違った効果を感じることができるでしょう。

猫のポーズの効果

猫のポーズは、おしりから首まで連なった背骨全体を動かし、胴体の筋肉を幅広く使うため、さまざまな不調に同時にアプローチできる、万能ポーズでもあります。「忙しくてヨガができない」「とにかく時間がない」という方も、5分だけ時間をとって、猫のポーズだけでもやってみてください。毎日続けることで、コリを感じる部分や、ストレスがやわらぎ、自分が整っていくのを感じることができるでしょう。

反り腰、猫背、腰痛を改善

猫のポーズは、骨盤を後ろにたおす動きと、前にたおす動きを交互にくりかえし、股関節まわりの筋肉がストレッチされるため、姿勢の改善にとても効果的です。一般的に、反り腰さんは、骨盤が前方向に、猫背さんは、後ろ方向に倒れっぱなしの状態です。反り腰さんは、背中をまるめる「猫」の姿勢で、しっぽの骨「尾骨」をまき込み、固くなっている背中の筋肉をほぐしましょう。

一方、猫背さんは、骨盤を前にたおす「牛」の姿勢で、股関節をしっかり引き込むことを、意識してください。どちらも、苦手な方を意識しなければならないため、最初はやりにくさを感じるかもしれません。ですが、続けるうちに、筋肉のバランスが整い、不良姿勢が原因で起こっていた腰痛やコリがやわらいでいきます。

ストレス解消&やる気アップ

人の背骨「脊柱」には、心身を活発化させたり、リラックスさせたりする、自律神経がとおっているため、背骨まわりを柔らかくする猫のポーズには、自律神経を整える効果があります。ストレスでイライラする、夜眠れない、なんてときは、背中まで使った深い呼吸を通すために、息を吸いながら背中をまるめる猫のポーズがおすすめです。背骨1つ1つを意識して、ていねいに動かしてみてください。心身をゆるめる副交感神経(自律神経のひとつ)が優位になることで、ストレスがやわらぎ、リラックスすることができるでしょう。

一方で、やる気を出したいときには、息を吐きながら背中をまるくする猫のポーズがおすすめです。おなかの深部の筋肉を使い、えぐり出すように最後まで息を吐き切りましょう。吸う呼吸が始まったら、「牛」の姿勢に切り替えながら、鎖骨の裏側まで空気を入れるイメージで深く吸って。心身を活発化させる交感神経(自律神経のひとつ)にスイッチがはいり、やる気がアップします。

妊娠中にもおすすめ!骨盤底筋を鍛える

妊娠中は、おなかの赤ちゃんが大きくなるにつれて、子宮や内臓をささえる骨盤底筋が圧迫され、弱くなりやすい時期です。骨盤底筋が弱くなると、尿もれや、ぽっこりお腹の原因になるため、妊娠中でも無理なくできる猫のポーズで、やさしく鍛えましょう。

息を吐きながら、骨盤から背中をまるくしたら、おしりの穴を内臓の方に引き上げるように、深部の筋肉をひきしめます。吸う呼吸はふんわりと、足のつけ根をかるく引きこみ、みぞおちから上体を引き上げて。おなかが重く、骨盤を前にたおしすぎると腰が反ってしまうため、下腹はかるくひきしめ、足のつけ根を少し引きこむだけでOKです。猫のポーズは、妊娠中に起こりやすい腰痛対策としても効果があるため、妊婦さんにはとてもおすすめのポーズです。

ポーズが上手くできないときは?

シンプルな動きの猫のポーズですが、簡単な動きだからこそ起こりやすいエラーがあり、また、直さなくても続けられてしまう、というデメリットもあります。気持ちよく、安定してポーズがとれないときは、何かがおかしいはず。自分の呼吸と身体をよく観察しながら、何がおかしいのかを把握するように、猫のポーズをとってみましょう。

股関節が動いていない

猫のポーズの動きは、股関節(足のつけ根)から始まります。「背中をまるくする、反らせる」のではなく、まず股関節の動きから骨盤が傾き、その延長線上で背骨の1つ1つが波うつように動いていく、というのが正しい猫のポーズです。股関節が動いていないときは、背骨の動きが悪く、大きく動かそうとすると胴体が前後にグラつき、安定しないのが特徴です。

両手足は、よつんばいの姿勢で固定させ、足のつけ根から動かしてみてください。いつもより大きな背骨の動きを感じることができるでしょう。よつんばいで股関節がうまく動かせないときは、あぐらで練習するのもおすすめです。おしりの後ろに置いた手をつぶすように、骨盤を後ろにたおし、足のつけ根に添えた指をつぶすように、骨盤を前にたおしてみてください。この動きに慣れてくれば、よつんばいの姿勢でも、股関節からなめらかに動かせるようになります。
 ヨガポーズ

肩がつまって苦しい

肩のつまりは、骨盤を前にたおす「牛」の姿勢で起こりやすいエラーです。背中を反らそうとすると、おなかが下に落ち、首がすくみ、肩がつまって息が苦しい、ということが起こります。反らせるのではなく、股関節を引きこんだ状態で、みぞおちから斜め上に伸びあがるようにやってみてください。

また、肩甲骨から脇の下をとおり、ろっ骨についている「前鋸筋」を起動させるのもコツです。前鋸筋は、肩甲骨を外に開き、腕を前に押し出すための筋肉です。肩甲骨をろっ骨に沿わせる程度に開き、両手でしっかりと床をおしましょう。すくんでいた首が、斜め上に伸びあがるように長く保てるようになるので、呼吸が通りやすくなります。

まとめ

シンプルだからこそ、なんとなくでもできてしまう猫のポーズ。いままで、猫のポーズの良さがよくわからなかった人も、正しい体の動かし方、呼吸の仕方を知るだけで、その魅力に気がつくことができるでしょう。猫のポーズをマスターすると、ヨガがもっとたのしくなりますよ。